チャバネゴキブリは茶色くて小さい身体に特徴のあるゴキブリです。クロゴキブリと同様に一般家庭に出やすいのですが、繫殖サイクルが早く、大量に発生するリスクが高くなります。
さらに殺虫剤への耐性を持っているため、絶対的な効果は期待できません。どうすればチャバネゴキブリを駆除できるのか、生態や侵入させない防止策を踏まえて解説します。
チャバネゴキブリの特徴とは?
「チャバネゴキブリ」は茶羽(ちゃばね)という名前のとおり、茶色がかった体が特徴的なゴキブリです。生まれた直後の幼虫は約3㎜で成虫でも10~15㎜しかありません。
卵は卵鞘(らんしょう)という7~8㎜の硬い袋に入っており、20日ほど経過すると卵鞘が落下し、約1週間で30~50匹の幼虫がふ化します。繁殖スピードも早く、2~3ヶ月かけて脱皮を繰り返しながら成虫になります。成虫の寿命は4~7か月で、一生のうち3~10回卵を産むため、一つの卵から30匹の幼虫がふ化した際、メス1匹から合計90~300匹の幼虫が生まれる可能性があります。
生息場所は一般住宅や飲食店、スーパーの食品売り場、ホテルなどに潜んでいます。寒さには弱いため、20℃以上の温度が保たれている厨房、冷蔵庫周り、暖房機器などの電化製品の近くで一年中見られます。夜行性のため昼間は隠れており、夜になるとエサを求めて活動し、集団でコロニーを形成します。
クロゴキブリと何が違う?
チャバネゴキブリ | クロゴキブリ | |
成虫の見た目 | 黄褐色 | 黒色 |
成虫の大きさ | 10~15㎜ | 30~40mm |
生息場所 | 屋内のみ | どこにでも生息する |
寒さへの耐性 | 弱い | 強い |
産卵回数 | 3~10回 | 15~20回 |
卵の数 | 30~40個 | 22~28個 |
繫殖スピード | 早い | 遅い |
飛翔性 | なし | あり |
チャバネゴキブリの成虫の大きさはクロゴキブリの半分くらいです。見た目の色は異なりますが、幼虫はどちらも赤茶色をしており、背中に2本の黒い縦線がついていれば、チャバネゴキブリの幼虫となります。
生息している場所は主に屋内に潜むチャバネゴキブリに対し、寒さに強いクロゴキブリは屋外でも生活できます。下水やゴミ置き場、キッチン、お風呂場などの湿った場所を好む傾向があり、マンションでは植木鉢下部に棲みついてることが多いです。
一生のうちに産卵する回数はクロゴキブリが15~20回、チャバネゴキブリが3~10回とクロゴキブリのほうが多いです。一方で卵の数はクロゴキブリが22~28個、チャバネゴキブリが30~40個とチャバネゴキブリのほうが大量に発生することがわかります。
1回の成虫になるまでのスピードは、クロゴキブリが1年ほど、チャバネゴキブリが2〜3か月とチャバネゴキブリのほうが繫殖スピードが早いです。
飛翔性にも違いが見られ、クロゴキブリは飛べますが、チャバネゴキブリは羽はついているものの、飛ぶことができません。
チャバネゴキブリはどこから侵入する?
チャバネゴキブリは部屋が散らかっていて汚れが多く、室温が25~30℃に保たれている環境に住み着きやすいといわれており、主な侵入経路は、以下のような場所があげられます。
玄関や窓などのすき間
チャバネゴキブリは2mm程度の隙間があれば、簡単に屋内へ侵入できます。普段の出入りだけでなく、換気目的で少し開けていても、玄関や勝手口、窓や網戸といったわずかな隙間でも入り込んでしまいます。
食中毒を引き起こすような病原菌やウイルスを媒介するケースがあり、屋内に入ってしまうと食品に混入し、健康被害が出る可能性もあります。
洗濯機の排水口やエアコン配管のすき間
洗濯機の排水口やエアコンの配管、排水管のすき間からもチャバネゴキブリは入ってきます。湿気がある場所を好むため、洗濯機やエアコンといった家電製品の中に入り込んでしまうと、内部を故障させてしまう可能性があります。
冷蔵庫やガスコンロの下
チャバネゴキブリはエサがある場所をかぎ分けて近寄り、食品に混入する危険があります。暖かい場所も好むことから、冷蔵庫やガスコンロの下から侵入するケースもあるので注意が必要です。
一般家庭だけでなく、飲食店や食品加工工場なども例外ではありません。まれに異物混入のニュースが流れることからもわかるように、ゴキブリ対策を怠るのは死活問題につながりかねません。
ダンボールの波板の間
宅配便で荷物のダンボールを受け取る際、波板の間にチャバネゴキブリが侵入する可能性があります。狭い空間を好むため、箱の中が空になっても、波板の間に入り込んでしまいます。気づかないうちに集団生活が始まって卵を産み、半年も経てば数十匹以上のチャバネゴキブリが大量に発生します。
殺虫剤は効かない!?チャバネゴキブリの駆除方法
チャバネゴキブリを駆除する方法は下記のとおりです。
駆除方法 | 適したタイミング | 防除効果 |
殺虫スプレー | 目の前にチャバネゴキブリがいるとき | △(あまり高くない) |
ペイト剤(毒エサ) | 薬剤散布を避けたいとき | 〇(高い) |
くん煙剤 | 家具のすき間に隠れたチャバネゴキブリの駆除したいとき | ◎(かなり高い) |
粘着シート | 抵抗性のあるチャバネゴキブリを駆除したいとき | 〇(高い) |
食器用洗剤やシャンプーなど | 薬剤を使わず、すぐにチャバネゴキブリを駆除したいとき | 〇(高い) |
殺虫スプレーの活用
目の前にいるチャバネゴキブリをいますぐ駆除したいなら、殺虫スプレーで駆除できます。ただしチャバネゴキブリは家庭向けの殺虫スプレーに含まれているピレスロイド系の薬剤に抵抗力を備えているため、防除効果はあまり高くありません。殺虫スプレーを使用する際は、かける量とかけ方に注意しましょう。
チャバネゴキブリに直接、十分な量のエアゾール殺虫剤をかけることで効果を高められますが、「かかり」が不十分だと駆除できません。なお、チャバネゴキブリが大量に発生した状態で使用すると四方八方へ逃げ散らかるリスクがあるので注意しましょう。
【おすすめの殺虫剤】
- プロ用ゴキブリ駆除剤
エアゾールタイプの殺虫スプレーで高い殺虫効果を期待できます。ゴキブリ以外には、トコジラミ(ナンキンムシ)にも効果アリです。
- エヤローチP
チャバネゴキブリにも効果が期待できる、強い殺虫成分に定評がある製品です。ゴキブリ以外には主にノミやトコジラミ、イエダニなどへの効果が期待できます。
ペイト剤(毒えさ)の活用
薬剤を散布したくない人は、「ベイト剤(毒エサ)」と呼ばれる「ホウ酸」などの有毒な成分を含んだトラップを設置しましょう。主に設置する場所は、台所の下や食器棚・冷蔵庫のすき間、ゴミ箱の近くなどです。駆除効果は高いものの、即効性はありません。チャバネゴキブリが毒エサを食べてから少し時間が経ったあと効果が発揮します。
なお使用する際は、子どもやペットが絶対に触れないところに設置しましょう。
【おすすめのベイト剤】
- ゴキちゃんストップ
普通のジェル状の製品と違い、薬剤が固形になっています。そのおかげでホウ酸の効果が保たれ、半年間にもわたる長期間使用することができます。
- ゴキファイター
駆除効果を発揮するのは、なんと1年間という高い持続力。いろんな場所に置けるように、4つのタイプに形状が分かれているのもうれしいポイントです。
くん煙剤の活用
隠れたチャバネゴキブリを一気に駆除したい場合は、くん煙剤を使いましょう。部屋に殺虫成分を含む煙を充満させることで一度に駆除できます。
ただし使用する前に家電製品や寝具、火災報知器などはビニールや新聞紙でカバーをかけましょう。煙に触れた際、障害や誤作動を起こさないようにするためです。ちなみにプロの駆除業者は、噴霧器をつかって隅々まで薬剤を行きわたらせます。
なお使用中は2~3時間部屋には入らず、使用後に換気を行いましょう。その後、部屋全体に掃除機をかければヒトやペットの健康への影響はありません。
【くん煙剤のおすすめ商品】
- 【第2類医薬品】アースレッド プロアルファ
ゴキブリのほかにもダニ類やノミ、トコジラミ(ナンキンムシ)を一掃することができる優れものです。
粘着シートの設置
殺虫スプレーの抵抗性が気になる人は、薬剤を使わない粘着シートを使って駆除しましょう。チャバネゴキブリの足は油やホコリで汚れていることが多く、家具・家電のすき間や洗面所の近くなどに設置しただけでは引っかかりません。
新聞紙を敷いてその上に粘着シートを設置すると、新聞紙がマットの代わりになるため、チャバネゴキブリを捕まえやすくなります。
食器用洗剤やシャンプーなどの活用
薬剤を使わずに目の前のチャバネゴキブリを駆除したい人は、食器用洗剤やシャンプーをかけて駆除する方法があります。ゴキブリが呼吸を行うための器官である「気門」を洗剤やシャンプーなどの液体でふさぐことで、呼吸を止めて駆除できます。
チャバネゴキブリを大量発生させないための予防対策
繫殖スピードが早く、大量発生しやすいチャバネゴキブリを室内に侵入させないようにするには、以下5つの予防対策を行いましょう。
1.侵入経路になるすき間をふさぐ
チャバネゴキブリが室内に侵入できるすき間があれば、徹底的にふさぎましょう。主に注意する場所は洗濯機の排水口をはじめ、シンク下の排水管と床とのつなぎ目、エアコン配管と壁とのすき間です。小窓や扉のすき間にパッキンやテープを貼り付けたり、エアコンのホースにドレンカバーやゴミ取りネットを取りつけたりすることで、チャバネゴキブリの侵入経路をふさげます。
玄関や窓といった侵入がふさげない場所のときは、ゴキブリ忌避剤を使いましょう。ホームセンターやドラッグストアなどで購入できます。
2.排水トラップに水が溜まっているか確認
チャバネゴキブリは下水道などを通って、キッチンやトイレ、浴室などの排水口から侵入することがあります。これを防ぐのが、排水管にあるS字形に曲がった部分の「排水トラップ」です。
変形部分に水がたまり(たまった水を封水という)、水がフタの役割を果たして虫の侵入や下水のにおいをブロックしていますが、経年劣化で機能しなくなってしまうことがあります。下水のにおいが上がってきていると感じたときは、排水トラップにちゃんと水が溜まっているか確認しましょう。
3.匂いが出ないようにキッチンや洗面所を掃除する
キッチンや洗面所を掃除しても、石けんの香りが残っていると匂いにつられて、排水口からチャバネゴキブリが侵入する場合があります。スポンジで皿を洗ったり、洗面所のまわりを掃除した後は、香りが残らないように水を流し、水分をふき取るようにしましょう。
4.部屋を清潔に保ち、ゴキブリが棲みにくい環境にする
チャバネゴキブリは食べかすだけでなく、ホコリや髪の毛もエサになります。チャバネゴキブリが住みやすい環境を作らないように掃除をしたり、こまめにゴミ出しをしたりして清潔な環境を維持しましょう。具体的に意識するポイントは、下記のとおりです。
- 食べ残しは密閉容器もしくはラップに包んで冷蔵庫に入れる
- シンクに食べかすを残さない
- 生ゴミはふた付きのゴミ箱に捨てる
- 使い終わった食器や調理器具はすぐに洗う
- 空き缶や牛乳パックは軽く洗ってから捨てる
- こまめに掃除機をかける など
5.屋外から持ち込むダンボールに卵がついていないか確認する
宅配便や買い物でダンボールを家に持ち込んだときは、チャバネゴキブリの卵がついていないか確認し、なるべく早く資源ゴミに出しましょう。ダンボールの波板の間にチャバネゴキブリが入り込んで卵を産みつけることがあるからです。
もし卵を発見したら、トイレに流したり、つぶしたりして、ふ化する前にすみやかに処理しましょう。
徹底的に駆除するならプロへ依頼するのもおすすめ
チャバネゴキブリを駆除する方法について、生態や侵入経路を交えて解説しました。もし部屋で見つけてしまった場合、早めに駆除しないと、大量に繁殖してしまう可能性があります。薬物の耐性があるため、徹底的に駆除したい人は、専門業者に依頼しましょう。
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